本日は、筆者がイギリス留学を通じて感じた周りに見られているという意識の差について考えてみたことをお話したいと思います。別にどちらかの文化が良い悪いというわけではありませんが両方の良いところを組み合わせてよりよい社会になればいいなぁと単純に思っています。
日本で生活しているとき
日本生まれ、日本育ちであり純ジャパの私は今まで日本で生活してきました。そのため、周りに合せるという文化に疑問を持つことは大学に入るまではほとんどなかったように思います。最近は時代の流れとして少しずつ変わってきているかとは思いますが、周りはこうしているから自分もこうするといった発想が当たり前になっているように感じます。それと同時に常に周りから見られているという感覚を持ちながら生活しているようにも感じられます。
そのため、外に出るときは常に周りの目というものを気にして生活してきました。例えば、外に着ていく洋服なども自分のためといういうよりは『周りから見られて恥ずかしくないような格好をする』など。
痴漢などの被害にあうのは露出の多い洋服を着ている自分のせいでもあるという考え方に、そのような行為を加害者ではなく被害者のせいだと考える風潮が間違っていると主張している友人の話を聞いて確かに自分の好きな洋服を着るのをためらってしまうような社会って問題ではないかとも考えました。自分が自分らしくいられる社会って一人一人の意識がとても大事なのだとつくづく感じました。
なぜ周りを意識する考え方が定着してるのか?
では、このような考え方を私たちはどこで身につけるのでしょうか?
『周りを気にする』『周りに合せる』ということはある意味自分の力で考えていないからではないかと思います。私は自分で考えるという力が不足してしまっている一つの原因として日本の教育のシステムが大きく関係していると思います。小学校の頃から私たちは記憶することをベースとした詰め込み教育を受けています。これは基本的には先生の言っていることを聞いている講義型の授業スタイルです。そして、この教育スタイルは中学、高校と変わらず生徒たちは何のために受験するのかという目的がはっきりしないまま受験のために記憶力ベースの勉強することになります。そしてなんとなく進路を決めて大学に入って、周りと同じように同じタイミングで就活をして企業などに就職するというある種の型ができています。
私たちは知らず知らずのうちに自分の将来について考える機会を与えられていないまま急に進路決定を迫られるわけです😂 そのため、自分が何をしたいのかあまりわからないから周りと同じようにしておけば大丈夫だろうという気持ちになりがちです。逆に言うと、周りからのピアプレッシャーが思っている以上に大きいと言うことです。
この周りに合せるという文化が顕著に表れいるのは”いじめ”の問題です。周りと少しでも違う行動をしていると”個性的な子”というレッテルを貼られいじめの対象になってしまうということはとても問題だと思います。口では個性を尊重しましょうと言いますが社会全体的な考え方や価値観が変わらない限りこのいじめという問題は残り続けてしまうのではないかと思います。
私は大学に入って異文化やアクティブラーニングなどについて学んでいく中で人の考え方を形作る教育や文化の影響力を強く感じました。同時に海外では道徳的考え方が宗教の経典などからきていることが多いのに対し、『ほとんどの人が宗教を信仰していない日本で道徳的な考え方というのはどこから来ているのか?』ということにも疑問を持ちました。そんな私の疑問を解消してくれた本がこちらです→常識として知っておきたい日本の三大宗教―神道・儒教・日本仏教 (KAWADE夢文庫)
日本には、昔から家族を大切にする、年上の人を尊重するなどといった文化や己の欲せざるところは人に施すなかれ=『自分のしてほしくないことは他人にもせず、自分にとって望ましいことは他人にもしてやる』など儒教的な道徳観がたくさん残っています。これが宗教を信仰していなくても私たちが道徳的価値観を持つことができている一つの理由だと思います。他にもこの本には神道、儒教、仏教の3つの関連性などがとてもわかりやすく説明されていて私たちの考え方の根底になっているのだと納得しました。
日本人が持つ道徳的考え方は世界が日本の『おもてなしや思いやりの心』をすごいと思う一つの側面でもあると思います。このようなすばらしい道徳心は、自分が自分らしくいられる社会と調和すればより素晴らしい国になるのにとも思いました。
イギリス留学で感じた日本との違い
イギリス留学をしたときに、良い意味で周りを気にせず生活をすることができました。なぜなら日本にいるときと比べて見られているという感覚があまりなかったからです。
これは、ある意味お互いが干渉しすぎず個人として尊重される文化背景があるからではないかと思います。
この個人が尊重される文化背景はイギリスの教育システムと関わりが深いと思います。イギリスではアクティブラーニングという教育システムが主流になっています。日本の講義型のように先生の授業を座ってきき記憶ベースの教育ではなく、生徒たちが自分から自発的に考える力を育成するという教育システムです。日本でも最近アクティブラーニングを導入しようと頑張っているようですが、どうしても形式だけのアクティブラーニングになりがちです。なぜなら、生徒が当事者意識を持って自発的に学習するという仕組みができていないからです。例えば、形式のみのプレゼンテーションを生徒にやらせても生徒は自分から自発的に学ぼうとしない限りただそのアクティビティをやらされているという感覚をもってしまいます。人ってやらされている間はなかなか物事が身につきませんよね。
これに対して、イギリスのアクティブラーニングでは考える力を身につけえうという要素が強いです。例えば、政治についての学習をするときも自分たちで予め下調べをして一つ一つの政治の形態の違いを自分たちで学んだ上で授業ではどの政治形態がよりよいかを話し合わせる場として活用したりします。また、投票の仕組みについて学ぶ際にも投票の仕組みそのものから自分たちで考えさせて自分たちで投票をするというアクティビティまで実行させます。もちろん、どのような授業をするのかは教師次第なので彼らの力量は問われやすいです。でもその分、生徒が自分たちで目的意識を持って学ぶという考える力が養われやすいシステムになっています。
さらに、イギリスではギャップイヤーという期間を持つことができます。ギャップイヤーとは大学に行く前に1年間など海外留学やボランティア活動などをして自分と向き合うという時間です。このような期間に自己成長させたり、自分と向き合って将来何をしたいのか真剣に考える人も多いです。日本と違って1年遅れてしまうという考え方はなく、まだ自己をある程度成熟させてから大学で学び始めるという考え方です。ギャップイヤーをするかは個人次第ですが、このように自分と向き合う時間を作ることができるのも良いなぁと思います。
イギリス的なアクティブラーニング教育の成果は、普段の会話にも現れています。私がイギリスに留学した際にも、彼らイギリス人は普段の会話で政治や社会問題について話してして授業でもないのに討論していました笑!日本ではあまり見ない光景ですよね😂 私も『日本の政治とイギリスの政治の違いや自分の意見』などを問われましたが、普段からあまり考えていなかったため答えるのに苦労しました💦 授業でいろいろ勉強したものの、詰め込み教育はテストのために勉強するという要素が強いため、テストが終われば忘れてしまいがちです….。やっぱり当事者意識を持って勉強することの大切さを実感しました。他にも私が留学中前に勉強しておけば良かった思ったことをこちらのページにまとめてみました⇒忙しい人でも時間をかけずにできる留学準備!イギリス留学前に学んでおくべきこととは?
このように、イギリス人は自分たちの考えを持っているため他の人の意見も一つの意見として受け入れようとする傾向があります。これが様々な価値観や人種を受け入れる現在の多文化主義的なイギリスを形作っているのかもしれませんね!
周囲の目を気にしない分、生活しやすいと感じた私ですが、悪く言えば自分で意識して気を遣わなければお洒落をしないためイギリス留学中はお洒落にうとくなったかもしれません笑
まとめ
いかがでしたでしょうか?人々の価値観や考え方の背景には教育制度が大きく関わっているなぁと改めて感じました。周りのことを気遣うということはもちろん素敵なことですが、自分で考え自分らしい個性を尊重してもらえる社会はもっと住みやすいと思います。これを機に少しでも考えることの大切や自分らしさという価値観について考えてみるのも良いかもしれません✨